シーチャン島の磯で、2投目にチヌ(ナンヨウチヌ)を釣り上げた大知昭さん。
フカセ釣り名人・大知昭 タイ王国でチヌフカセ釣り その① バンセン編
「このタイミングでヒットしたということは、ここ(シーチャン島)はチヌが多いように思うよ。ただ1匹だけではヒットパターンがわからないから、これから色々と探ってみるよ」
そう言って大知さんが釣りを再開すると、ものの10分もしないうちに海の状況が激変!
チヌがヒットした15m沖にマキエを撒くと、海面が真っ黒になるぐらい小魚(エサ取り)が集まるようになったのです(^_^;) 最初はそこまで出ていかなかったのに・・・。
これには大知さんも驚きながらも、
「すごいエサ取りだけど、これはオキアミやエビを入れなくても、マルキユーの配合エサ単体で集魚効果があるということだね。小魚が集まるということはチヌも反応するから、オキアミが無いタイでもフカセ釣りができるということだよ」
と笑顔。ポジティブです!
試しにエサ取りの真ん中に、エビを刺した仕掛けを投入すると、馴染む前に表層でエサをとられる。当然ですね。
そこで、仕掛けが速く沈むようにハリスのガン玉を増やした。これをマキエの濁りの端に仕掛けを投入すると、サシエは中層〜底層までもつように。
「よし! ひとまずこれで深いタナを狙ってみるよ」
ちなみに、サシエが底まで残っているかどうかは、アタリが出るタイミングで判断。また、早めに仕掛けを上げて確認したりもしてました。
表層〜中層の小魚をかわしてサシエを中層から下までサシエを沈められるようになった大知さんが、ここからガンガン竿を曲げます!
ただヒットしたのはチヌではなく……
「よく引いて面白いけど、この引きはチヌじゃないね。なんだろう?」
やがて寄せてきたのはシマアジみたいな魚。
コウちゃんが教えてくれたこの魚の名前は「マブタシマアジ」。
30cmほどだけど引きが強くておもしろかったようで、大知さんはこの笑顔!
マブタシマアジはマキエがお気に入りのようで、次々にヒット。6匹目くらいを釣り上げたところで、
「あれ? このアジはこれまでとちょっと違うね。日本のアジに似てる感じだけど、これは何?」
そう言って差し出したのがこのアジ。確かにマアジにちょっと似た感じ。
「これはマテアジですね。おいしいアジですよ〜。大きくなると身体に縞模様がでてくるんですよ」
すぐにコウちゃんが説明。助かります(^^)
大知さんはアジを釣りながら、
「アジ系の魚は多いんだね。これをフカセ釣りで狙ってみるのもおもしろいよ。チヌよりも手軽に釣れるし、引きも強いから、タイでフカセ釣りを始めたばかりの人でも楽しめると思うよ」
「マキエにエビを混ぜたらもっとアジを集められるよ。中層でヒットしてるから、ウキ止めを付けた仕掛けでやると釣りやすいね」
タイでフカセ釣りでアジを狙う人は試してみてください(^^)
アジ釣りも楽しいが、大知さんの本命はやっぱりチヌ! しばらくマブタシマアジやマテアジ釣りを楽しんだ後は、アジをかわしてチヌのヒットポイントを探します。
最初の1匹が釣れたカケアガリ際はエサ取りばかり。そこで、これまでよりも10m以上先の25m沖を狙うことに。
沖でヒットしたのがこのキス。日本で釣れるシロギスよりもちょっと太めのホシギスかな。
キスを見た大知さんは、
「キスが釣れるということは沖は砂地だね。シモリ(水中の岩)がないからか(他の魚の)アタリも少ない。カケアガリの落ち込んだ周辺はシモリがあって魚の反応も強いから、狙うならここだね」
手前から沖まで幅広く探って、大知さんが決めたポイントは最初のチヌがヒットした場所(15m沖)周辺 。
ただ、ここはアジがよく釣れたポイント。
これまでと同じやり方ではアジや小魚に邪魔される。そこで大知さんは、手前にマキエをたくさん撒いてエサ取りを集め、仕掛けを投入する本命ポイントには少量のマキエを撒くマキエワークに切り替え。
日本でもエサ取りが多い時期によくやるこのマキエワークで釣っているとヒット!
かなりパワフルな引きで竿が大きく曲がります!
なかなか底から離れない重い引き。ただ、竿に伝わってくる手応えから大知さんはチヌではないとわかったようで、
「なかなか底から離れてくれないね。なんだろう?」
と言いながら真剣な顔でやり取り。
やがって上がってきたのは、見慣れない銀色に輝く体高のある魚。
「この魚はなに? こんな魚は初めて釣ったよ。引きが強くて楽しいね」
満足そうな大知さん。
この時はコウちゃんもこの魚の名前を知らなかったのですが、すぐに調べてくれてた結果、
正体は「ユウダチスダレダイ(夕立簾鯛)」。沖縄以南に生息する魚でした。
マキエワークで沖でのエサ取りは減ったもののチヌのヒットが来ない。
キーメンが釣れたところで、仕掛けを作り直しがてら休憩。
ここでコウちゃんが大知さんに手渡したのが、大知さんが日本でいつも釣り場に持って行く『午後の紅茶 ミルクティー』。
「大知さんの釣りに午後の紅茶が欠かせないけど、タイにはないですよね」とコウちゃんに話したところ、「タイにも売ってるよ!」と買ってきてくれたのです(^^)
エネルギーチャージした大知さんは、
「これでチヌが釣れる気がするよ! ありがとう!」
と、リフレッシュして釣座へ。
釣座を5mほど移動しての釣り再開。狙う場所は同じく15m沖。
狙いを底に絞って、ハリスにガン玉を追加。サシエは自重があって早く沈み、エサ取りに強い練りエサ『くわせ練りエサ・チヌ』(現在は『高集魚レッド』)をチョイス。
タイのチヌに練りエサが効果があるのかを試してみたかったようです。
仕掛けが馴染むとウキが沈んでいくセッティングで、アタリは道糸や穂先の動きでとっていく大知さん。
その穂先に「クンッ」と小さいアタリ。大知さんが竿を立ててアワセると、竿は曲がったものの魚の引きが伝わってこない。
「根掛かりかな?」と思ったけど、
大知さんは
「絶対魚が食ったよ。底でヒットしたから、ハリスが岩に掛かってるのかもしれない」
と無理に引かずに、逆に道糸を少し緩めます。
すると、穂先が「グーッ」と引かれはじめ、
「やっぱりおったやろ!」
大知さんの言う通り、ハリスか魚体が岩に張り付いてたようです。
1度、根を離れると、あとはハリスが擦れている可能性があるので、無理せず、ただ手前のシモリに走られないように誘導しながらのやり取り。
上がってきたのは小型ながらもきれいな魚体のナンヨウチヌ。
いきなり釣れた最初の1匹よりも、自分なりにポイントを探して、釣りを組み立てて釣り上げた2匹目の方がうれしかったそう。
「これでタイのチヌも練りエサで釣れることがわかったぞ」
「この感じだと、ここはチヌがもっと釣れるよ。フカセ釣りで他にも色々な魚が釣れることがわかったし、タイでフカセ釣りが広がる可能性はあるよ」
この1匹でこの日の釣りは終了。
迎えの船が来るまでの間、大知さんとコウちゃんは高場に上がって釣り場を再確認。
そして、お世話になったコウちゃんに『大知ウキ』をプレゼント。
港に帰って、Hさんに報告とお礼を伝えて、今回の釣行は終了。
Hさんは喜んでくれました。
あとはシーチャン島から連絡船に乗って戻ります。
早めに連絡船に乗って出船を待っていると、スタッフが客室の底を開けてエンジンをチェック。その結果、、、エンジン不調のため、別の船に乗り換え。
最後にバタバタあったけど、
大知さんの船内でのこの笑顔が、今回の釣行が満足に終わったのを証明していますね(^^)
これにて大知さんの2013年のタイランドでのチヌフカセ釣りは終了です。
今は、この頃よりもフカセ釣りのポイントも増えており、チヌの釣果も上がっています。
大知さんを連れてもう一度、タイでチヌ釣りをしに行きたいな〜。
釣れたチヌは2匹ともリリースしました。
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