タイの釣り思い出シリーズ「カンチャナブリ釣行」② 2015年12月〜2016年1月/油売り

神奈川県箱根町で育ち、中学~大学のころは芦ノ湖のブラックバスやマスたちと戯れる。その後、伊豆七島方面でカジキのトローリングにはまり、30代後半で南国タイへ。そこで出会った淡水の雷魚やナマズ、海ではアジと戯れる現在・・・

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前回「カンチャナブリ釣行」① からご覧ください。

 

さて、前回まではのんびりしていましたが、ここから急展開。

 

② 突然の遠征の遠征決定

事の発端は大晦日の昼食時。

初日(12/30)、2日目(12/31)は、お宿からさほど遠くないエリア、しかも平坦な川での釣りを楽しみました。

事前打ち合わせでは、3日目(1/1)と最終日(1/2)も似たようなパターンで釣り歩く予定でした・・・が、ガイドたちから3日目の釣行に関して次のような提案がありました。

 

一つは車で一時間ほど走った川へ行って、今までと同じくカスープやサナークを釣るプラン。同じ魚だが、近場よりサイズは大型だと言う話です。

そしてもう一つは、車で2時間、徒歩で1時間の山に入って、マシールと言う幻の魚を狙うプラン。

 

ガイドの1人であるM君が以前行った時の写真を見せ、「釣れるよ~。」と誘惑するのです。

マシール タイ

それがこの写真。

この魚の存在は知っていたし、いつかは釣りたいと思っていたけど、山深い奥地に行かないと釣れない魚で、よほどの覚悟が無いとそこまで行けないとも・・・。

それが、車でサ~ッと行って少し歩いて釣りをして、夜にはホテルに帰って来られると言うではありませんか。

写真の魚はサイズが大きくてとってもキレイ、昨日今日とすでに釣っている魚よりこの(我々にとって)幻の魚に全員心が揺らぐのは釣り人の性です。

しかし、そこに行くには山道を歩くので長ズボンが必要とのこと。

 

私以外の2名は長ズボンを履いているけど、私はお気楽な釣り仕様でショートパンツしか持っていない・・・。

 

こういう時、近くのスーパーに行ってズボンを買いますか! となるのでしょうけど、私の場合、バンコクでもサイズが無くて探すのに苦労するスペシャル体型!

そう、おデブです。

こんな田舎では、まず探すだけ無駄と判断して、「自分はホテルの裏の川で遊んでいるから2人は行って来れば。」と同行者に提案しました。

大体ズボンがあっても、山道を1時間も歩きたくないのが本音ですね。

しかし、ガイドのMEK君が「手前の川で油売りさんは釣りをして、他の2名は奥に入って行けばいいんじゃない?」と言ってくれたので、取りあえず翌朝一緒に出発することにしました。

 

そう、この決断が2016年最大の事件になるとは・・・。 
(この時点では2015年の大晦日ですよ) 

 

 

③ 2時間のはずが5時間

2016年元旦、早朝5時15分にホテルを出発。

ミニバンタイプの車だけど、M君も一緒なので5人乗りは結構きついです。

狭さは置いといて、途中コンビニに寄ったり、朝食食べたりと目的地に順調へ向かって行きます。

1時間半ほど走ったところでガソリンを補給します。帽子を忘れたと言うM君に、ここのコンビニでハッちゃんがキャップをプレゼントすることに。

もう、大型マシールを釣ったも同然だから気前も良い。

「どれがいい?」予想に反して豹柄をチョイス。(笑)「それかよ!」と和気あいあい。

 

私とコウちゃんは、過去にこの辺までは釣りに来ているので景色に覚えがありますが、この先どのような所へ入って行くのか?ドキドキ、ワクワクです。

山道に入って、しばらく走ると三叉路を右へ。ここからは我々も未知の世界です。

 

前日ナビで調べた所要時間は2時間9分と出ていたけど、トイレ休憩も取っているし山道なので3時間はかかると言う読みでした。

しか~~~し、ここから先の道が予想以上に悪いのです!

悪いなんてもんじゃない、未舗装だけではなく、泥が削られておりひどい凸凹道。
しかも、1台に5人と釣り具満載だから、何度も車の底を擦ってしまい、ゆっくりでしか進めません。

やっとの思いで、目的地に着いたのが10時10分。

2時間の予定が、なんと5時間近く掛かってしまいました。

 

④ 1時間のはずが2時間強

ここで、もう1人現地ガイドが参加、この人がリアル釣りキチ三平みたいで、サンダル履きで山の中をポンポン進んでいく超人クラス。

そのガイドが精悍な雰囲気のWan君。

彼のピックアップトラックに乗り替えて、森の中に入って行きます。ここから先は車が入れないので徒歩になるよ、と言う細い道の手前に到着です。

 
  

ガイド

 

さあ、いよいよ山に入るで~!

一応道は付いているけど、素人日本人にとっては歩きやすいとは言えない道です。

勾配はあまりないけど、倒木などが道をふさいでいて歩きにくいことこの上なしです。

Wan君はどんどん自分のペースで行ってしまうので、何度か呼び止めて待っていてもらうようになります。

おい、徒歩1時間ってWan君のペースでか・・・?
  

   
 

10時20分から歩き出して、約40分で大きな岩がテラスのようにせり出した場所に出ました。

ここで休憩することにします。

 

油売り「川はまだ?」

Wan「あと1Kmぐらい。」

油売り「最終目的地ではなく、私が入る川は?」

Wan「??? 最終目的地まで行かないと、川に出ないけど」

油売り「???」

私は手前の川で遊ぶはずなのですけど・・・。

 

そう言えば、手前で釣ればいいと提案したMEK君も、実はここ来るのは初めてと途中で言っていたような・・・。

「え~~~っ、私も走破しなくちゃいけないの?」と予定が崩れ出したのであります。

でも、このペース、この足場なら行けないこともないかな、と思ったのですが。

 

世の中、そんなに甘くなかった!

 

 

このテラスから先が、傾斜もきつく、足元はすべり、いばらの様な草が生えている、まさに原生林地帯を縦走すると言ってもいい険しい道程になったのであります。

2時間でも無理だ~~~~~~~~~~~~!

叫びは密林に虚しく消えて行きました。

 

⑤ 私には無理です

よくよく聞くと、川は谷の下を流れており、我々はそこに向かってひたすら斜面を下らなければならないと言うことです。手前に川などなかったのです。

下り斜面を進み続けるしかない。しかし、すでに私の足はこの有り余る体重を支え続けたので限界に来ていました。

勇者の杖(途中で拾った竹の杖)もこれ以上威力を発揮しそうありません。

下を見下ろすことも難しいような急斜面を降りるなんて・・・。

歩くペースは下がり、どんどん皆との距離が離れて行きます。

 

MEK君が付き添って一緒に歩いていてくれましたが、決断の時は来たようです!

油売り「油売り無理で~す!ここで待っているから皆は川で釣りして来て。」

MEK君は「もう少しだ!」と励ましてくれるのですが私の足は大笑いしております。

実際水の音も聞こえてきているので川まではもう少しなのでしょうが、このペースで降り行っても、足の疲労が回復して釣りができるようになるのは夕方になってしまいそうです。

 

しかも、降りたら登らなければならないと言う現実!。

やはり諦めるしかないと決断し、岩に座り込んだ私を残念そうに振り返りながらMEK君は皆が向かった川へと降りて行きました。時に11時45分。

結局、他のメンバーが川に付いたのは歩きだして2時間以上経ってからと言うことでした。

 

さて独りになり、しばらくは息を整えたり、足を揉んだりしていましたがとっても暇です。

取りあえず自撮りなどしてから少し上に移動したら、少し楽に横になれる場所を確保することができました。

日差しは温かく、聞こえる音は風の音と鳥の声、わずかに水が流れる音も聞こえます。
こうなったら寝るしかないですね。

 

午後2時半過ぎにMEK君とM君が様子を見に来てくれました。

もう少し楽に川まで降りられるルートを見つけたから行こう、と誘ってくれたのですが彼らのいる2~3歩先まで降りるのもまだままならない状態です。

登ることは出来そうなのですが、下りはとても無理だと伝えます。

そこで、M君に付き合ってもらって先に帰ることにしました。

 

M君に助けてもらいながら、休み休みではありますがどうにか岩のテラスまで戻って来られました。ここまでは傾斜がきつかったのですが。この先は多少緩やかですから1時間もあれば帰れるはずです。

 

が、そうは都合よく行かないと言うお話です・・・。

つづく

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